下塗り塗料の種類とその特性

下塗り塗料の種類

各種の要求性能を求められている下塗塗料は一般にシーラーという名でよばれているもので、多くの種類が開発されているが、これらを適切に選択している場合が少なしシーラーに起因する故障も多い。
特に1積類のシーラーがいかなる建材に対する下地にも画一的に仕様化されているケースが多く、先に示した下地の特性にマッチした選択と仕様化がなされていない。
シーラーの種類を大別すると、合成樹脂エマルション型シーラー、熱可塑性合成樹脂系溶液型シーラーそして溶剤型熱硬化性(反応硬化型)合成樹脂シーラーの3種類とすることができ、これらはそれぞれの特性がある。
シーラーは、顔料を組成物として含有しているものではその効果は少なく、原則としては顔料無添加のクリヤータイプとすべきである。

①合成樹脂エマルション型シーラー

最も普及度の高いシーラーで、その応用面が高いものである。
しかし、下地調整機能は、すべての条件の要求に対応できるものでなく、最大の効果は吸収性の均一化であり、それを主目的とすべきである。
合成樹脂エマノレション型シーラーに用いられる樹脂の種類は、シーラーとして要求される化学性能である耐アルカリ、耐水性のすぐれたもので、その種類は、 100%アグリル共重合体、アクリノレースチレン共重合体、ベオパ系樹脂などが主流で、これにエチレンー酢ピ共重合体が加わった種類である。
合成樹脂エマルション型シーラーは、ぜい弱でなおかつ、吸収性の強い下地に対しては、ぜい弱な面を補強し付着力を高める下地改質能力をあまり有していない。
すなわち、合成樹脂エマルション型シーラーは、その乾燥造膜が水の蒸発による樹脂粒子の融合によって生ずるものであって、吸収性の強い場合、下地面に水のみが吸収され、そのため、水が急げきになくなり、下地表面で粒子が融合して造膜してしまい、下地内部に浸透することができない。ゆえに、ぜい弱部分の内部に浸透補強したり、アンカーを打つ能力が少なく補強効果が上がらず、ぜい弱部分の表面のみで造膜し、吸収性を少なく均一にすることのみの期待しかできない。

ゆえに、ぜい弱な粉化性の強いけい酸カルシウム板などの場合は、かえって付着性を不良にしてしまう危険がある。
合成樹脂エマルションシーラーはー般に耐アルカリ性の強い成分を有する樹脂を用いているが、その造膜機構からして完全造膜は困難で他のシーラーに比較してポーラスな通気性のある塗膜となるために、塗膜自体が下地のアルカリ成分に耐える性能はもっていても、そのアルカリ成分が表面に移行しようとすることを防止するシール性が弱したとえば、アルカリ成分がある条件下で表面に祈出することによって生ずるエフロレッセンスを抑える力が不十分であったり、また、石綿スレートのような強アルカリ性の下地を外部に使用した場合に対する塗装系を合成樹脂エマルシヨンペイントで仕様化し施工した場合にシーラーに合成樹脂エマルション型を用いると、雨水の浸入、また、放出が容易に行なわれやすく、アルカリの溶出をシールしきれないまま、上塗りの合成樹脂エマルションペイントがアルカリにより変色、チョーキングの発生しやすい状態となり、また、エフロレッセンスの発生をも生ずる結果となる。
ゆえに、合成樹脂エマルションシーラーの適用はマイルドな下地の、アルカリ、水分等をシールし、吸収性を減少させ均一化する効果を求める下地に使用するものと考えるべきである。
適性のある上塗りはやはり同一系統の合成樹脂エマルションペイントが主流であり、溶剤型の各種塗料を上塗りすることはかえって悪い結果となるため避けるべきである。

② 熱可塑性合成樹脂系溶液型シーラー

表題にむずかしい表現を用いているが、代表的なシーラーとして、塩化ピニル樹脂系シーラーがあげられる。
この系統のシーラーはその樹脂類に、耐アルカリ性のすぐれた塩化ピニル共重合体、塩素化ポリプロピレン、そして、天然ゴムを塩素化した塩化ゴムなどによって代表される。
溶剤型でその造膜は揮発乾燥型であり、物理的に溶剤が蒸発することによって造膜するものであって、塗膜は通気性の少ない連続性のある塗膜を形成するため下地の吸収性を抑える効果を発揮する。
ある程度、ポーラスな下地については塗装後に溶剤が存在している段階では下地内部に溶剤と浸透し乾燥することによって補強効果を示すことができるが、粉化性が強く、吸込みの強いぜい弱性の強い下地の場合はやはり、溶剤のみが内部に急激に吸収され、樹脂は高粘度化し吸収されず、造膜するため付着性を効果的に発揮しないで終わってしまう。

しかし、合成樹脂エマルション型シーラーよりは付着性を発揮する能力はもっている。
ゆえに、連続性があり、耐アルカリ性を中心とする耐薬品性もあり付着性能を向上させる能力もあることから、シーラーとしての利用度が高く、石綿スレートなどには良い結果を示す。
ただし、付着性において、下地表面の含水率が高いとか、表面に水分が付着している場合などにおいては、下地面に対するシーラーの”ぬれ”が極度に低下し、付着性も悪しかえって事故発生の原因となりやすいため、しっかりした施工管理のもとでの施工が必要である。
ー般にシーラーの施工は下塗りであるとのことで容易な管理となりやすいが、溶剤型シーラーに限らず、塗装の基本はシーラーにありと考えての施工とその管理が必要である。
現場の塗装工に対する技能は等しく均一に塗装することが第ーとなっているが、その大半は上塗りの施工に片寄っている面があるので管理に注意が必要である。

③溶剤型反応、硬化型(2液反応硬化型)合成樹脂シーラー

2液型のエポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂などによって代表される合成樹脂を用いるもので、基剤と硬化剤の2液は反応硬化型であり硬化前は合成樹脂自体も低分子であり低粘度であり、硬化することによって高分子化するものである。
耐水、耐アルカリ性をはじめ耐薬品性がすぐれており、特に、架橋反応することにより、吸収性の強いぜい弱な下地に対して強力に補強効果を発揮する。

すなわち、未反応の基剤と硬化剤は低粘度であり、溶剤と共に下地の吸収性によって内部に吸収されることができ、吸収された後、基剤と硬化剤が架橋反応し硬化することによってぜい弱な下地を補強することができる。
ほかの系統のシーラーはいずれも高分子となっており、下地の内部への浸透性が不十分であり、造膜機構が異なるため不完全になりやすい。
ゆえに、新しく開発された建材へのシーラーは、総合的にその性能の発揮が求められる2液型エボキシ樹脂シーラーが仕様化されることが多い。
たとえば、けい酸カルシウム板については粉化性が強く吸収性が極度にあり、ぜい弱な下地には最適なシーラーとして用いられ、また、アスベストの公害問題から開発された耐アルカリ性グラス繊維入りセメント板であるGRC板に対するシーラーについても、その表面特性が十分に解明されていない点もあり、高性能の2液型エポキシ樹脂シーラーを仕様化しているケースが多い。

しかしこれら高性能を発揮するシーラーにおいても施工上の注意事項があげられ、これを無視した施工は失敗に終わることが多い。

1.2液型であることにより、混合比、混合後の可使時間を守ること
2.塗装後の塗重ね時間において、長期間放置してから上塗りを塗付けすることは、層間付着性が不良化しやすくなるため、必ず決められた時間内に上塗りする必要がある。